十三歳で手術のため入院した
不安な気持ちで天井を見つめていた
「血液検査をします」
ドアから きりりとした顔立ちの青年
白衣が眩しい
彼はベッドに斜めに腰を掛けて
ちょっと痛いかも知れないけど我慢ね
そう言い耳たぶをナイフで小さく刺し
細い管で血を吸いシャーレ―に入れた
その間じゅう青年に半ば抱かれるような格好になっていた…… その時
私はこの青年が好きだ! と思った
白衣を見つめていると
ボタンの穴から 白衣の隙間から
私の熱い思いが届くといいと思った
「O型ですね」
さり気なく言うと去っていった
それからの入院生活は
毎日が期待感に満ちていた
偶然屋上で二人だけになると心躍った
ある日の夕方一人で彼を待ちながら
何気なく通りを見下ろした瞬間
私は膝から崩れ落ちた 心臓は大暴れ
夜間学生の彼は女子学生と肩を並べて
これほど残酷なことがあるなんて……
退院の日をひたすら待った