来るのか 来ないのか
だいいち場所はここで良かったのか
時間と 日にちは合っているのか?
うっかり携帯を忘れたから
駅前の人波は夕闇の中で流れ
もたれかかる地下道の出入り口
中を歩く人の声や靴音
わう~んと籠もる
時間がどんどん過ぎるほど
期待の変わりに積もるのは不安と疑い
形が作られつつあったひとつの決意
わたしはその場にうずくまる
地下道に向かい叫びたくなるのを堪える
夕暮れは薄暗い地下道から
眠り支度の様だ
横断歩道の向こうに待ち人の姿を見つけた瞬間
わけもなく不意に・・・
見つからぬよう地下道を駆け抜けた
ヒールの音を思い切り後方に
飛ばしながら
突然 心の扉が閉まってしまったのだ
それはわたしが携帯を忘れたからだけど…
途中の出口の階段を駆け上がり
見慣れぬ路上に出たわたし
ネオン色をした涙を幾筋も流し
頬に当たる夜風は
カサコソと冷たかった