【作品解説】
小さな子たちをファミレスに連れて行った。
みんなお気に入りのTシャツを着てすまし顔。
ブルーベリーソフトクリームを注文したら「きれい!」とのぞきこんだりグラスを回したり。
スプーンを口に運んでは顔をしかめたり笑顔になったり。
オトナの味は深いのだぞ。
ブルーベリー ソフト
透明なグラスの中
瑠璃色の小さな玉ころころ
ふわふわ淡雪つつみこむ
のぞきこむ瞳きらきら
「みんないい顔しているね」
夜空の星はいつも青い涙をながしているね
あたしの見るお月さまはバナナです
見えたものをそのままうつす
人生はいつでもサプライズ
ときにそれはアクシデント
地面に落ちそうになるのを
持ちこたえ上昇する
ブルーベリー・ソフト
つるつるとふわふわ
ころころとねっとり
舌でざわざわするのが絶妙でいやでもない
否定でも肯定でもなく
引っかかりながらもするりとぬける
でもまたひっかかる
きらきら瞳をはめこんで
ねじれて深い海底に沈みこんだハートやら
伸びやかに青空向いているのやら
グラスの周りを
ブルーベリーの輝く瞳が並ぶ
少年による痛ましい事件のニュースに触れるたび、本当の原因はどこにあるのかと考え込んでしまう。私の子供時代は自然の中が遊び場だった。情報も少なかったがそれでも幸せだったし、むしろ今よりずっと豊かだったのではと思う。
緑のたわわな海原を
風が揺らし
分け入る
青麦の息遣い
緑の海に飛び込めば
麦の葉の先端で柔らかい肌
を刺し血が滲む
麦の穂の先端
雲雀の囀りに耐えず
青いままの穂が零れる
裁くものと
裁かれるもの
どちらがどの椅子に座るのか
360度回転する椅子
親指と人差し指に力を込めて
茎を千切る
5センチほどの茎の端を潰し
唇で挟んで熱い息
を吹き込めば音が鳴る
青い空に向かって何度も
♪ BIー BU- !
風は音色を四方に運ぶ
地面も空もひと続き
境界線などどこにもなかった
柔らかい土を裸足で踏みしめる少女
青麦を抱え込み
その生育を実感した